通信制高校からでも、大学受験で国公立大学や医学部を目指すことはできます。一般選抜では、通信制高校出身であること自体より、共通テストや大学ごとの個別試験で何点取れるかが重要です。
ただし、「通信制高校でも不利ではない」という言葉だけで終わらせるのも正確ではありません。全日制高校より自由な時間を取りやすい一方、受験用の授業、生活リズム、学習計画を自分で補えなければ、実際の受験準備では遅れやすいからです。
この記事では、2020年9月に通信制高校に入り、文法問題集が3割ほどしか解けない状態や昼夜逆転を経験した後、勉強法を立て直して国立大学医学部医学科に合格したRevive代表の経験をもとに、通信制高校から大学受験を成功させるための考え方と勉強の進め方を解説します。
この記事の監修者:Revive代表 樋口圭。通信制高校から国立大学医学部医学科へ進学。共通テスト英語リーディング・リスニング満点、医学部模試英語全国1位。
結論:通信制高校からの大学受験は「制度上の不利」より「準備環境の差」が問題
通信制高校を卒業すれば、全日制高校の卒業者と同じように大学を受験できます。通信制高校という学歴だけを理由に、国公立大学や医学部の一般選抜を受けられなくなるわけではありません。
実際に差がつきやすいのは、次の3点です。
- 学校のレポート学習と大学受験勉強が別になりやすい
- 毎日の登校が少なく、生活と勉強のペースを自分で作る必要がある
- 志望校から逆算した科目別の進度を管理してくれる人が少ない
逆にいえば、この3点を補えるなら、時間の自由度は大きな強みになります。重要なのは「通信制か全日制か」ではなく、志望校に必要な勉強を、期限までに終える仕組みがあるかです。
通信制高校の大学進学率はどう見るべきか
文部科学省の通信制高等学校情報発信サイトによると、令和6年度間に通信制高校を卒業した人のうち、約29%が大学等へ進学しています。
この数字だけを見ると、通信制高校は大学進学に不利に感じるかもしれません。しかし、この約29%は「大学を志望した人の合格率」ではなく、卒業者全体に占める進学者の割合です。通信制高校には、就職、専門学校、資格取得、療養との両立など、大学進学以外の目的を持つ生徒も多く在籍します。
したがって、進学率だけから「通信制高校生は大学に受かりにくい」とは判断できません。一方で、大学受験向けの授業や進路指導が十分でない学校もあるため、受験準備を学校任せにしないことは必要です。
通信制高校から大学受験をするときに起こりやすい3つの問題
1.高校卒業のための勉強と大学入試の勉強が一致しない
通信制高校のレポートや定期試験は、高校卒業に必要な単位を取るためのものです。それだけで難関大学の一般選抜に必要な演習量まで確保できるとは限りません。
国公立大学を目指すなら、英語・数学・国語・理科・地歴公民・情報について、共通テストと二次試験から逆算した別の学習計画が必要です。学校の課題を終えたことと、受験勉強が進んだことを分けて管理してください。
2.自由な時間が、そのまま勉強時間になるとは限らない
Revive代表も、通信制高校に入った当初はゲーム中心の生活になり、昼夜逆転してまともに勉強できませんでした。時間が増えても、開始時刻や場所が決まっていなければ、人は必ずしも勉強を始められません。
改善のきっかけは、意志の強さに頼るのをやめたことでした。家で勉強を始められないなら外へ出る、決まった時間に勉強場所へ移動するなど、勉強せざるを得ない環境を先に作ります。通信制高校生にとって、教材選びと同じくらい重要なのがこの仕組みです。
3.インプットだけで「勉強した気」になりやすい
参考書を読む、授業を見る、解説を写すだけでは、入試問題を自力で解く力は身につきません。特に数学・物理・化学は、理解した内容を問題演習で使い、間違いから不足している知識を特定する必要があります。
Revive代表自身も、インプット中心の勉強法では伸びませんでした。新しい単元を学んだら、すぐに問題を解き、解けなかった理由を「知識不足」「方針が立たない」「計算ミス」に分けて戻る方が効率的です。
文法問題集3割・昼夜逆転から国立大学医学部へ進むまでに変えたこと
2020年9月、通信制高校に入ったころは、受験勉強の基礎も習慣も整っていませんでした。最初に文法問題集を買って解いてみても、正解できたのは3割ほど。「この状態から大学受験に間に合うのか」と絶望するところからのスタートでした。
そこで、勉強時間だけを増やそうとするのではなく、次の順番で立て直しました。
- ゲームと昼夜逆転が続く環境を問題として認識する
- 勉強法を調べ、何をどの順番で進めるかを決める
- 家で始められない日は外へ出て、意志に頼らず勉強を始める
- 読むだけの勉強を減らし、問題演習で理解度を確認する
- 志望校の入試から逆算して、必要な教材と演習を積み上げる
使用した教材には、英語の「ターゲット1400」「ターゲット1900」「Next Stage」、数学の「青チャート」、理科の教科書や「重要問題集」などがあります。大切なのは、同じ教材を全員が同じように使うことではありません。現在地に合う教材を選び、入試までに必要なレベルへつなげることです。
通信制高校から国公立大学を目指す勉強の進め方
手順1.志望校の受験科目と配点を確定する
まず、大学名と学部を仮にでも決め、共通テストと二次試験の科目・配点を確認します。「英語を頑張る」「数学を基礎からやる」だけでは、科目ごとの優先順位が決まりません。
同じ国公立大学でも、共通テストの比重が高い大学と二次試験の比重が高い大学では戦い方が変わります。医学部では面接が課されることも多いため、募集要項まで確認します。
手順2.現在地を教材名ではなく問題で測る
「青チャートを持っている」「英単語帳を一周した」ではなく、実際にどの問題を自力で解けるかで判断します。基礎問題、共通テスト形式、志望校の過去問を少量ずつ解くと、現在地とゴールの差が見えます。
過去問は直前期だけの教材ではありません。早い段階で出題形式と難易度を知り、いま使っている参考書が本当に志望校へつながるかを確認するためにも使えます。大学別の考え方は、Reviveの大学別過去問分析・解説でも順次公開しています。
手順3.基礎、典型問題、過去問を一本につなぐ
| 科目 | 基礎段階 | 演習段階 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 英語 | 単語・文法・英文解釈 | 長文、共通テスト、過去問 | 単語帳だけを続けず、文章の中で使えるか確認する |
| 数学 | 教科書例題・基礎問題 | 典型問題、志望校過去問 | 解説を読むだけでなく、白紙から方針を立て直す |
| 理科 | 教科書理解・基本問題 | 重要問題、過去問 | インプットだけで止めず、計算・考察問題を解く |
| 国語・地歴公民・情報 | 必要知識の整理 | 共通テスト形式 | 後回しにしすぎず、完成時期を先に決める |
手順4.週単位で計画と実績を比較する
通信制高校生の計画は、「毎日何時間勉強するか」だけでは不十分です。1週間で終える問題数や範囲を決め、週末に予定と実績を比較します。
- 予定が多すぎたのか
- 理解に想定以上の時間がかかったのか
- ゲームや睡眠など、実行環境に問題があったのか
- 優先順位の低い教材へ手を広げていないか
原因を分ければ、翌週の計画を修正できます。守れない計画を何週間も使い続けないことが重要です。
一般選抜と推薦はどちらを選ぶべきか
| 入試方式 | 主に必要な準備 | 通信制高校生が確認すること |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 共通テスト、大学別の学力試験 | 学校外で受験科目の演習量を確保できるか |
| 学校推薦型選抜 | 評定、推薦書、面接、小論文、学力確認など | 在籍校の推薦条件・校内手続き・締切 |
| 総合型選抜 | 活動実績、志望理由、面接、小論文、基礎学力など | 志望大学が求める人物像と準備期間 |
通信制高校だから推薦、学力に自信がないから総合型、と単純に決めるのは危険です。推薦・総合型でも基礎学力や入学後に学び続ける力は必要です。また、募集要件や選考内容は大学・学部ごとに異なります。
一般選抜を軸にしながら利用できる推薦も検討するなど、受験機会を増やす設計が現実的です。必ず最新の募集要項と在籍校の手続きを確認してください。
学年別:今から何を優先すべきか
高校1年生
英単語、英文法、数学の基礎と、毎週勉強を続ける生活の仕組みを優先します。難しい教材へ進むより、解けない原因を放置しない習慣を作る時期です。
高校2年生
志望校と受験科目を仮決定し、英語・数学など完成に時間のかかる科目を先に進めます。国公立大学志望なら、理科や地歴公民を始める時期も逆算してください。
高校3年生・既卒生
過去問から必要点と不足分野を特定し、合格点に影響する範囲へ時間を集中させます。すべてを最初から完璧にしようとせず、残り期間と配点で優先順位を決めます。
通信制高校生に塾・予備校が必要になるケース
通信制高校生全員に塾が必要なわけではありません。自分で志望校から逆算し、生活と学習を管理できるなら独学も可能です。一方、次の状態が続くなら、早めに外部の支援を使う価値があります。
- 参考書を買うが、どの順番で使うか決まっていない
- 計画を立てても数日で止まる
- 学校のレポート以外の受験勉強が進んでいない
- 複数科目の優先順位を決められない
- 過去問を解いても、次に何を直すべきか分からない
塾を選ぶときは、授業の有無だけでなく、志望校から逆算した全科目の計画、日々の実行管理、過去問後の修正まで見てもらえるかを確認してください。
よくある質問
通信制高校から国公立大学を受験できますか?
受験できます。共通テストと大学ごとの個別試験に必要な科目を確認し、学校の単位取得とは別に受験勉強を進める必要があります。
通信制高校出身だと一般選抜で不利になりますか?
一般選抜では試験得点が中心です。通信制高校出身であること自体より、必要科目を期限までに仕上げられるかが問題になります。ただし、大学ごとの募集要項は必ず確認してください。
基礎がほとんどなくても大学受験に間に合いますか?
残り期間と志望校によりますが、現在地を正確に測り、教材と受験方式を絞れば改善できます。Revive代表も、最初は文法問題集が3割ほどしか解けない状態から勉強法を見直しました。
通信制高校生は何時間勉強すべきですか?
一律の時間より、志望校までに必要な範囲を週単位で終えられるかが重要です。最初から長時間を求めず、決まった時間に外へ出るなど、毎日開始できる環境を作ってから伸ばします。
オンライン塾でも生活と学習の管理はできますか?
面談の時間だけでなく、週間計画、日々の進捗、計画未達の原因まで確認する仕組みがあれば可能です。授業を受けるだけのサービスか、実行まで管理するサービスかを確認してください。
自分の場合の合格ルートを整理したい方へ
通信制高校からの大学受験では、基礎学力だけでなく、生活リズム、残り期間、受験科目、学校のサポート範囲によって最適な順番が変わります。
Reviveでは、現状と志望校を確認し、優先すべき教材・科目・学習順序を整理する無料学習相談を行っています。通信制高校から国立大学医学部へ進んだ経験をもとに、一般論ではなく、現在地からの具体的な計画を作ります。

